松前漬け

松前漬け

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毎度!宮内一郎です。

2018年最初の投稿になります。ご無沙汰して申し訳ありません。

 

 

松前漬けをご存知ですか?

 

松前漬けは北海道の郷土料理で 、松前の名前のとうり (現在の松前郡松前町)が発祥だと言われています。

 

江戸時代後期、北海道南部では、鰊の豊漁に沸き、鰊の卵である数の子が非常に安価な食品でありました。

 

その数の子に、スルメ(スルメイカの内臓をとって素干ししたもの)と昆布とあわせ、塩、?油を中心とした調味料に漬け込んだものを、松前漬けの発祥とされています。近代になると、鰊の不漁で数の子は高価な食品となり、スルメと昆布の割合が増していきます。本来は、スルメと昆布のシンプルな?油漬けを指すのではないでしょうか。

 

いまでは簡単に、一日程度で出来上がる一夜漬けのようなものもありますが、厳しい冬を越すための保存食という観点から熟成させてつくるのもいいでしょう。

 

お正月を中心とした料理として紹介される松前漬けですが、昆布とスルメという目出度い組み合わせがいいのでしょう。

 

この昆布とスルメの組み合わせで思い浮かぶのが、結納品です。

 

昆布は「よろこぶ」の語呂合わせから「子生婦」などの当て字があって、子孫繁栄の願いが込められています。

 

スルメは「寿留女」という当て字から、末永い幸福を込められています。鰹節は「勝男武士」とも書かれ、男性の力強さを象徴します。

 

 

今回は、ご家庭で、手軽に、家にある調味料で作ることができる一夜漬けの松前漬けの作り方を紹介します。

 

私が、実際に作った松前漬けの写真とレシピも含めて。

(少し、妻に手伝ってもらいました)

 

材料

切りスルメイカ      50g

刻み昆布         50g

人参の千切り      70g

鰹節         ひとつかみ

酒、醤油、みりん 割合は、1:1:1で、各々100ml

 

作り方

(1)大きめのボールにスルメを入れ、分量の酒とみりんに浸して柔らかくします。10分以上

(2)昆布をさっと水洗いしてから、たっぷりの水で、約10分戻します。

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(3)(2)の昆布をざるで水切りし、(1)のボールに入れて醤油を加え、よく混ぜます。

(人参を加える時はここでいれます)

(4)保存容器にうつし、冷蔵庫に入れて漬け込み、1~2日で出来上がります。

(鰹節を入れる時は、漬け込む時にいれます)

甘口にしたい場合は、みりんの割合を増やしてください。

アルコール分が気になる時は、酒とみりんを煮切ってから使ってください。

 

松前漬けを美味しく頂くのに、切り干し大根、干し貝柱、柚子七味唐辛子、胡麻などを加えると良かったと聞きました。どうか、美味しい松前漬けを作ってください。

 

発泡スチロール(魚容器 その2)

発泡スチロール(魚容器 その2)

 

毎度!宮内一郎です。

前回は木樽の話が中心でした。今回の話題は発泡スチロールです。魚の容器は、昭和三十年代に入ると、漁獲量の減少・経費の節約等を考慮してか、様々な方策が取られるようになります。

例えば、新潟からのスルメイカの出荷には、リンゴ箱にビニール袋を入れて、水氷に生イカを入れていました。三陸、北陸地方からは、石油の空き缶にビニール袋を入れ水氷にスルメイカを入れて出荷されていました。また、亜鉛メッキの金属の通い箱に蓋をつけたものとか、防水ダンボールの魚箱が出たのもこの頃でした。

このリンゴ箱と石油缶の組み合わせは意外にも長い間使われていました。リンゴ箱に石油缶が二個すっぽり入り出荷されるので、出荷者にとっては経費の面では助かった反面、運ぶ労力には苦労した想い出もありました。

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逆さ樽 (魚容器 その1)

逆さ樽  (魚容器  その1)

毎度!宮内一郎です。

今回の話は、「入れ物」です。勿論、魚の入れ物、容器です。

昔から築地の魚河岸では、仲卸(以前は仲買)の魚を売る分担が決められていました。分担とは、業界別と言いますか、私ども近海物の魚を扱う業界では、入れ物のほとんどが木樽や木箱でした。

 

木樽は水氷に魚を入れます。魚の内容量は、八貫目(30キロ)と、十貫目(37、5キロ)が主流です。樽の重さに氷水、魚を足した総重量は、30キロ樽だと、40キロ、十貫目樽だと優に50キロを超えます。この樽を、運搬用の子車に上げ下げするのに、樽の二箇所に付いた紐を二人でもって、三段にも積むと、それは力のいる仕事でした。
福島、茨城の常磐方面からから送られてくる、所謂 [水戸樽]は,八貫目入るちょっと柔な感じの、それでも蓋と紐がついて、三段位は積めました。樽を互い違いに積むと四斗樽でも、五本の樽で三段に重ねられます。

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チャッパ

チャッパ     

 

毎度!宮内一郎です。

 

七月の魚河岸俳句会で、懐かしい言葉に出会いました。

暑さ増し 茶葉の刺身 夕涼み  鰹海

茶葉は当て字で、チャッパと読みます。
房州勝浦、銚子、三崎、御前崎など、関東、東海の一部地域では、10キロ以下の小型キハダをチャッパと呼んでいました。
築地の市場でも、3~4キロの小キメジをチャッパと呼んでいたのを思い出して、この稿を書き始めました。
チャッパとは、キハダの仔魚です。キハダマグロではありません。キハダの仔魚です。
キハダは、魚体のサイズ毎に呼び方が異なります。一般的に、25キロ以下を小キハダ、15キロ以下をキメジと呼び、さらに小さいサイズを小キメジ、チャッパと呼んでいます。
キハダは淡い紅色をした身肉で、マグロ類の中では脂肪分が少なく、色持ちもよく、特に赤身は春から夏にかけて、さっぱりとして美味しく食べられます。
名古屋から西日本で好まれるマグロで、クロマグロの少ない夏場は刺し身にして人気が高い魚です。
チャッパという言葉は京都の方から使われ始めたのでしょうか、浜松、名古屋あたりから西の地方で呼ばれ,キハダの地方名も関西に多くみられます。
和歌山や高知、九州ではイトシビ、沖縄ではチユーナガシビなど。
築地の市場で、使われなくなった言葉やものを集めて,この稿を埋めたいとおもいます。

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アナゴ

アナゴ

 

毎度!宮内一郎です。 

 

30年程前から築地の市場に、毎年、4 ~6月にかけて透明で柳の葉の様な形をした、体長10㎝ほどのノレソレと呼ぶ魚の幼魚が入荷しています。

ノレソレという名は、高知での呼び名で、岡山ではベラタ、三崎ではタチクラゲと、地方名が多くあります。これがマアナゴの幼魚です。

卵から孵化すると、レプトケパルスと呼ばれる形になって海上近くに浮遊して育っていきます。

ところが、この穴子、どこで産卵するのか、その生態がほとんどわかっていません。

産卵期は春から夏ですが、南西諸島の深海と沿岸が接近したあたりといわれていす。

稚魚が徐々に育って穴子の形になると、ヘドロの様な海底に棲みつくようになり、岩があればその割れ目などに入りこみ、夜間に活動する文字通り穴にはいっているわけで,アナゴの名がつけられたともいわれています。

梅雨時に美味い魚と言えば、[梅雨イサキ][入梅イワシ]などが挙げられますが、今回の話の穴子も、昔から[梅雨アナゴ]と呼ばれる程、梅雨の季節に最高の味になるため、江戸っ子の人気の食べ物の一つでした。

そう言えば、土用に美味いウナギも、梅雨の水を飲んで旨くなるハモも、同じように細長い魚で形は似ていて、同じようにレプトケパルスと呼ばれる仔魚期を経て成長します。

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