疣鯛

夏場から秋口にかけて味の良い、クセのない白身魚です。私は子供の頃から煮付けと、一塩干しでしか食べたことがないのですが、関西では色々手を加えて焼いたり、酢の物にしたり酒蒸し等美味しくいただいている様で、東京で生まれ育った私の話より、関西の方の説明が的を得ていると思う位、九州、四国、関西で馴染みの深い魚です。

敢えて、関東での販売量の少ない疣鯛を「さかなの話」の初めにもってきたのには、何か意図があるのでは?

あるんです。

勿論、旬の魚でおいしい魚ですから皆さんに食べていただきたい事が一番。次が「可哀想」な魚・気の毒な魚と思うのは私1人の思い過ごしかもしれませんが。字を見て下さい。漢字でかくと(ヤマイダレ)に尤(もっとも)と書きます。魚の字には、鱧とか鰆とか、旨そうで華やかな字が沢山あるのに、よりによってヤマイダレの名前をつけなくてもと思うのは私1人だけではないでしょう。

胸ビレの下にある小さな突起や、エラブタ後方の黒い斑点が疣のようだからついた名前ですが、お店で漢字で疣鯛と名前を書いたら、販売量が半減すると思います。私は昨年2月大病を患って以降、回復に向かっているものの、疒の字が無性に気になって、この稿を書く気になりました。

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