「ひとっ、ひとっ、ふたっ、ふたっ、みっちぇっヨ、オーみっちぇっ、よっちぇっヨ!」

魚を数える時のこの声がなかなか出なく、1人、口のなかで、もそもそと数えていると”大きな声で!”拳固は飛ぶし、すくい玉(小魚や海老を樽からすくって選り分ける柄のついた網)でけつをたたかれたり。私共の業種は近海物で、扱う荷姿は樽が殆んどで、それも常盤の30㎏樽を除けば皆10貫目(37kg)入りの大きな樽で、夏でも冷たい氷水の中の魚を、腕まくりして手を入れて魚を数えてごらんなさい、声も出なくなりますヨ。手はしびれる、頭は痛くなる、丁度かき氷を食べた時の痛さの三倍くらいかな?

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