関西ではフグを「テッポウ」、フグちりを「テッちり」、フグの刺身を「テッさ」といいます。この「テッ」は当たれば死ぬ鉄砲にかけた洒洛が日常語になったもので、千葉県銚子では「富」(とみくじ)といいます。その心は「めったにあたらぬ」諺の多い魚です。

「フグ食う無分別食わぬは無分別」「据膳とフグ汁食わぬは男ではない」「フグにあたれば鯛にもあたる」

河豚には猛毒があるから食べ方を間違えればあたって死ぬが、運が悪い時は何を食べても害になる。

「河豚も1人は美味からず」

河豚は美味しい魚の代表だか、たった1人で食べたのでは味気ないものだ、という意味です。

俳句も詠まれています。

「だまされて食わず嫌いが河豚をほめ (芭蕉)」「五十にてフグとの味を知る夜哉( 一茶)」「河豚汁の我活きている寝覚めかな( 蕪村)」

小噺にこんなのがあります。河豚を料理したものの、不安なので乞食に毒味させようと考えて与えたが、暫くしてから乞食が「貴方がたは食べましたか?」と聞くと「俺たちはとっくに食べた」というと、乞食は「それなら私も食べよう」と。

河豚の川柳は数あるこですが、月刊東卸に載せる格調のたかい?句が見当たらなかったので次回以降に、河豚と同じ日本一と讃えた一茶の句で河豚の話を一まず終わらせます。

「河豚食わぬ奴にはみせな富士の山 一茶」

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