金目鯛の巻

金目鯛を書かなければならない羽目になりました。

九月号は、「県の魚」の話を書こうと組合三階に相談に行ったところ、組合広報の渡辺若菜さんから「九月号の表紙です。目が綺麗でしょう」と金目鯛の写真を見せられました。いつかは書かねばならなかった魚ですが、11月ごろと思っていた矢先だったので、「勝浦(千葉県)ではまだ禁漁中じゃないの?この金目・目が大きいね」と因縁をつけた心算が、余りに写真が可愛かったので、金目の原稿を書くことになった次第です。

私には、「金目にたいして”拘り”があるのです。」わがままになるかもしれません。私の拘りの前に金目の概略をお話しします。

市場では「金目鯛」を「金目」と略して呼んでいます。

水深100〜300mの大陸棚の駆け上がりの底近く住んでいる魚で、北海道の南部から南に分布しています。関東では常磐沖、外房沖、相模湾、駿河湾などが主な漁場で、1本釣り、延縄、底曳き網などで獲られます。私も若い頃、小田原から乗り合いで金目釣に出かけ、仕掛けについた鉤の数だけ一荷で釣れて、宛ら、鯉幟の様だった記憶があります。300g位の小金目でしたが10匹も、水深200mから手巻きのリールであげると、楽しみが苦しみに変わった、思い出の釣行でした。

以前、鰹の話で、店で初荷から大晦日までいちにちも欠かさず鰹を並べていたことを。 今金目を1年・1日も欠かさず店にある事を思い出します。それ程人気が出てきた魚です。

金目の料理法は和・洋・中どんな食べ方をしても素材が良ければ美味しいはずです。何度もいう様ですが「うまい」「まずい」には個人差があります。私の「舌」は標準と判断して下さい。冒頭の広報の渡辺さんの容貌で旨い、まずいの見分け方ですが「目の小さい魚旨い魚です。」これも私の”拘り”の一つです。金目の種類は同じ?ですが市場では「地の金目鯛」と「沖の金目鯛」と言う分け方をしていて、値段やうまみの地金目が上とされていますが、沖の金目もじきや取れ場所によってはうまい魚もあって一概にこの分け方が良しとは言えません。しかし、同じ魚を比べてみて、目の小さい魚を選ぶことが正しい方法です。鯵や鰯などの小さい魚から、鰹でも、大きな鮪でと然りです。

以前からテレビ、ラジオ他色々な教室てまと常々、「魚は一匹で買って家で料理をして下さい」と教えてきました。魚市場セミナーでは、32名の生徒さんに鰹を一尾、1キロを越す真鯛を一尾、秋鮭を一尾づつ料理して頂いたこともありました。魚を一尾料理することで魚の美味しいところを捨てることなく、食べられるように学んでいただきました。金目の話に戻ります。金目の美味しい所、目の玉です。カルシウムの塊である眼球の外側は、コリコリとして美味。一尾で2ヶしかないから喧嘩しないように。中心に透明な球がありますが、これは食べられません。胸鰭の付け根の筋肉は、赤味がかった茶褐色で眼球と一緒に「あら煮」で食べて下さい。煮こごりも美味しいです。