このたびの東北関東大震災並びに福島第一原発事故により被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

漁業関係の被害については「国難」とはいえ壊滅状態の現状に「ガンバって、立ち直って!」と声をかけるだけですが、一日でも早く復興されます様にご祈念いたします。

一方、福島第一原発事故による出荷制限がされた農産物並びに茨城県の加工前の牛乳等、放射能検査の結果「直ちには健康に影響がない」とか「ねんのため食べないでほしい」といった曖昧な言葉ではなく、しっかりした、正確な情報が望まれます。3月30日現在の情報では原発放水口付近の海水で、国の基準値の4385倍の放射性物質が検出された様で、魚等への影響が心配されています。

「一犬虚に吠ゆれば万犬実を伝う」風評被害の恐ろしさを思う今日です。

 

眼張の巻

 

めばる煮て こころをわかつ皿二つ 曹人

春告魚の名が、ニシンからメバルに移って久しくなります。俳句の季語では春ですが、一年中、いつ食べても味の落ちない魚で、特に早春から初夏頃までが美味しい時期ですので、一度は御賞味下さい。二番のきくこと受け合いで、また召し上がって下さい。煮て、焼いて、揚げて、鍋にも良しです。市場ではアカメバル、クロメバルと色で区別して呼ぶことがありますが、棲息環境の違いによる体色の変化にすぎないと思われています。比較的浅場に棲むものほどクロメバルが多く、深場に棲むほどほど色が赤くなるようです。クロメバルがなかでも一番美味しいとされて、市場への入荷量も少なかったこともあって値段も幾分高い時もあったのですが、鮮度や型が良ければ他のメバルでも、それ程、味に差はないと思います。

春の気配が感じられると、待ち焦がれていたメバル釣りが始まります。私も若い頃、羽田沖へ夜釣りに出掛けました。体長15cm位、手頃のサイズのクロメバルを釣ったのを覚えています。相模湾での船釣りでは、五匹位、一荷で釣れて、その魚信がたまらない魅力で、何度か通ったものでした。メバルは常に二、三十尾が群れて、底の根に行儀よく並んで行動しているので、一尾かかってもあわてずに、追い食いさせれば枝鉤全部にかかってくることも珍しくないのです。

魚類の多くは卵を産む「卵生」ですが、稚魚の状態で生み出される「胎生」の魚にはメバルや一部のサメ、ウミタナゴが知られています。

メバルの戸籍はカサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科で、メバル、クロソイ、キツネメバル、アコウダイ、キチジ、カサゴ、オニカサゴなど多くの美味しい魚が仲間にいますが、頭部には棘や骨板が発達して、多くの種類が背鰭、尻鰭、腹鰭の棘条に毒腺をもっているので御用心、御用心。

赤眼張 縦列駐車 鯉幟

伊栄井