鮭の巻

11月11日は何の日?

十一月十一日は鮭の日です。

知らなかった?知らなかったじゃすまないよ。

魚河岸で働いている人間なら覚えておいて下さい。

そして子供たちに魚の知識も含めて伝えていくのが私たちの仕事ですから。

魚偏に土二つを書いて鮭。土を十一と見て十一月十一日です。

秋になると鮭の産卵シーンがテレビで放映されます。

餌も食べず、産卵のために懸命に川を遡上する鮭を見る時、自然の営みとはいえ痛ましい姿にジーンとくるのは私だけでしょうか。

その感動をすぐに忘れて、翌日になると、鮮魚の鮭、生の筋子、輸入物のサーモン等を売っているのは生業のせいでしょうか。

鮭の生態

鮭の仲間は世界中に70種ほど知られています。

もともと北半球だけに棲む魚ですが、世界各地に移植が盛んに行われ、現在では、チリ、ニュージーランドなど南半球各地にまで分布しています。

日本へも1877年、ニジマスがアメリカから移植されて以来、多くの種類がアメリカやヨーロッパから移植されました。

養殖も盛んです。

タイセイヨウサケ、ギンザケ、マスノスケ、ニジマス(スチールヘッドトラウト)など多くの種類が世界各地で養殖されています。

タイセイヨウサケは、サケ・マス類で生産量が最も多い種類ですが、その生産のほとんどは養殖によるものです。

日本にもノルウエーを中心にチリやタスマニア(オーストラリア)などから“サーモン”として輸入されています。

日本でもいくつかの種類が養殖されていますが、ギンザケ以外はすべて淡水での養殖です。

養殖量の多いニジマス、イワナ、ヤマメの他、シナノユキマス、イトウ、ヒメマス等も養殖されています。
一方、人口孵化放流による日本のサケの資源量は安定しています。

1980年代後半から毎年、推定20億粒が孵化放流だれ、5~9千万尾(2.5~4.5%)が母川に帰ってきているからです。

ここから問題の解明です。

母川の臭いが届かない数千kmも離れた北太平洋で何を手がかりに故郷の方向を知るのでしょうか。

いくつかの考えがあります。

①太陽コンパス(ミツバチが仲間に花畑の場所を伝えるときや渡り鳥が渡りの方角を知るときに利用するといわれている)

②海流コンパス(海流に沿って回遊している)

③磁気コンパス説(地球の磁気を利用している)

④視覚(地形を記憶している)。今のところ、一つの考えだけでは説明できないようです。

鮭は栄養食材

サケはその持てる全ての能力を駆使して生まれ故郷へ帰ってくるのでしょう。

サケは日本にとって昔も今も大変重要な栄養食材です。

豊富に含まれるビタミンAが全身を元気にしてくれて、肌に潤いが戻り、粘膜が強くなって風邪など引かなくなります。

水戸の黄門様が特に鮭の皮を好まれ、身よりカワイイといったとか。

サケはウロコを引かない魚。血ワタ(腎臓)もめふん(塩辛)にする、捨てるところがないエコNo1の魚です。