魚を輪切りにしてみるとわかりますが、マダラやスズキでは、体側にわずかに赤褐色の血合肉と呼ばれる筋肉が見えます。その他の色の薄い筋肉は、普通肉と呼ばれます。マサバやマイワシでは、普通肉もやや赤みを帯びて、血合肉はかなり発達しています。カツオ・マグロでは血合肉がよく発達して筋肉内部に入り込んでおり、また普通肉は相当赤い色をしています。赤身魚と白身魚の区別は、これらの色素、特にミオクロビンが筋肉に赤みを与えるほど存在するかどうかによります。ただし、血合肉には、赤身魚、白身魚ともにたくさんの色素タンパク質が含まれているので、赤身と白身の区別は普通筋で行われ、赤身魚にマグロ類・カツオの他、マイワシ・ブリ・マサバ・サワラ等が含まれ、一方、白身魚には、マダイ・ヒラメの他、マダラ・カレイ類が入ります。
血合肉や普通肉の赤い色はミオグロビンという赤い色素によります。サケはオレンジ色であったり、紅ザケのように真っ赤であったりしますが、これはミオグロビンではなく、アスタキサンチンという色素であるため、サケは赤身の仲間に入れてもらえません。マアジは赤身の魚の仲間ですが、普通肉の色は比較的白く、赤身と白身の中間のように思えます。マアジはお寿司屋さんでは「ひかりもの」の部類に入ります。自然界のものを人がきちんと区別しようとすると、はっきり分けられなくて必ずはみ出しものが出てきます。

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