桜エビの巻

桜エビの生態について

四月は桜です。桜の名の付く魚が築地市場に入ってきます。桜鯛・桜蝦(ひかり蝦とも)・桜鱒・桜鯎・桜魚(公魚が岸に寄る初春の季語)、桜烏賊(花烏賊ともいう、桜の咲く頃とれる、産卵のための沿岸近くに来る烏賊をいう)、桜餅、これは魚じゃなかった。四月にはほんのりと桜色した桜エビをとりあげます。

エビの仲間にはクルマエビ類のエビらしい形の遊泳類が多く、イセエビ類のような歩行型も、背腹に平べったいウチワエビのような極端なエビもいます。サクラエビは浮遊性のエビで、体長は4cm前後しか成長しません。東京湾、相模湾、駿河湾、および台湾東方沖に分布していて、昼間は水深200~300mの海中に群れをなしていますが、夜になると20~50mまで浮上し、プランクトンを食べて明け方近くになると深みに戻る性質をもっています。

静岡県の駿河湾は有名な産地で、湾に面した由比、蒲原はサクラエビの代名詞にもなっていて、夜、浮上したサクラエビの群れをアグリ網で漁獲します。3月30日に出船、その晩に漁をして31日に入船、桜エビの解禁です。春の漁は6月26日までで、秋の漁期は10月下旬から12月下旬(秋のエビは頭に子を持っていて黒っぽい)、桜エビの産卵盛期が7~8月で、資源保護のため、年二回、1~3月、7~9月を禁漁期間としています。

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