ところで、料理や食材の話には“旬”という言葉がよく出てきますが、この“旬”の由来にはアユが関係しています。

よく知られているように、旬とは魚介・果物などがよく熟して味の最も良い時期、転じて、物事を行うのに適した時期のことを言います。古代、朝廷で行われた行事の一つに旬儀(旬の儀式・旬政ともいう)というものがあり、毎月1・11・16・21日に天皇が酒宴を開いて、臣下に政治について聞きました。平安中期以降、4月と10月だけ行われるようになり、それぞれの孟夏の旬、孟冬の旬と呼びました。

そして、孟夏の旬には扇を、孟冬の旬には氷魚(ひお、アユの幼魚)を賜るならわしでした。旬儀には季節に適ったものが賜物とされたことから、これが“旬”の由来といわれています。

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