カペリン

 

日本に於けるカペリンの出現は、然して古いことではなく、戦後しばらくして、柳葉魚があまりにも有名になって高値になったことに由来するようです。北海道の太平洋岸だけで獲れる柳葉魚は、産卵場の環境悪化や親魚の乱獲などの影響で資源が減少しています。

この柳葉魚の代替として食べられていたのが、カペリンことカラフトシシャモで、日本では北海道のオホーツク海のみに産する魚です。

シシャモもカラフトシシャモも同じキウリウオ科の魚で、よく似ていますが、よく見ると簡単に区別できます。カラフトシシャモは、シシャモより口が大きく、鱗が細かいこと、鱗がないように見えます。それに体がやや細長いのが特徴です。

鮮魚で見る機会は殆どないと思いますが、築地市場には10月末頃、時々入荷します。

前号ではカラフトシシャモと予定していましが、英名カペリンの名が呼び易いようです。

このカペリン、水産業上でも色々な役割を果たしています。

太平洋と大西洋の寒帯域、北海道の浅海域に分布していますが、大西洋での生産量が膨大で、海鳥・クジラ類・鱈・オットセイなどの天然の飼料となっています。そのほか、肥料・魚粉・魚油などに加工され、卵を抱いている雌が日本向けに輸出されます。カペリンの卵だけを集めて冷凍したものも輸入されています。これにトビウオの卵や数の子を混ぜ、醤油・酒などに漬け込み「トビッコ」などと呼んで、お寿司の種に使われています。カペリンの卵は非常に味がよいことから、雌は「子持ちシシャモ」の塩干品に、雄は佃煮などに加工されます。

魚にはそれぞれの美味しさがあり、そして、人の好みもそれぞれです。是非食べ比べてみてください。

ワカサギ

ワカサギも、柳葉魚・鮎と同じキウリウオ科の魚です。

ワカサギは関東での呼び名で、ワカは小さいとか弱々しいの意、サギは白く清らかの古語で、魚の形や色に由来します。地方名の多い魚で、関西・山陰・九州ではアマサギの名で呼んでいます。アマは海の意とか。

湖に棲む魚と思われていますが、淡水に生まれ、海水で育ち、再び産卵のために淡水に戻る、鮎や鮭と同じ習性を持つ海の魚です。移植の結果、本州各地の淡水湖沼に棲むようになりました。動物プランクトンを食べ一年で成熟し、親は春に川をさかのぼって、水草や砂礫に卵を産みつけ、産卵後に死にますが、稀に2年生きるものもあります。

江戸時代、霞ヶ浦のワカサギを公方様に献上したことから、公魚の名が付いたことは有名で、釣ってすぐ天ぷらにして食べられる、氷上の穴釣りも有名です。穴釣りは冬の季語、ワカサギは春の季語です。

チカ

ワカサギに似ていますが、ワカサギより大きく、腹鰭の位置(ワカサギは背鰭より前、チカは後ろ)も異なり、海の魚です。胡瓜の香りがするので「キュウリ」の名で販売した記憶があります。