私は、20年ほど前から14年間、築地市場に集まる魚介類の情報を伝える担当をしていました。ラジオでは毎週、テレビにも時々出て、その時に旬を迎える魚や、食べ方の紹介もしていました。

トビウオについては毎年と言っていいくらい取り上げました。

トビウオの食べ方といえば、たたき・塩焼きが子供の頃から常套でした。ところが、先日見たトビウオのテレビには、たたきと塩焼きの説明が一言も出ません。びっくりしたというより、自分の知識の進み具合の悪さに情けなく思ったりしました。当たり前のことですが、時代と共に食べ方も変化するのですね。

和風・洋風・中華風と括られていた食事も、洋風には伊風・越風・露風・印風等々と細分化されそうです。

前に書いた(月刊・平成21年4月号)トビウオの稿(リンクはこちら)では「飛ぶ鳥」としてのお話が欠けていたので、何故トビウオが海面を飛ぶことができるのかを説明します。

トビウオの飛ぶ様がツバメに似ていることから、石川県ではツバクロ、山口県ではツバクラウオ、茨城県・山陰地方ではツバメウオとツバメにまつわる地方名が多い魚です。

空中での飛行時間が45秒という記録もあります。マグロやシイラなどの大きな魚に追われたとき逃げるために飛ぶという説が有力です。

まずは尾鰭を激しく振って空中に飛び出し、速度を上げ、前半身が水面から出た時に胸鰭と一緒に大き目の腹鰭と一緒に大き目の腹鰭も広げ、グライダーのように風を受けての滑走が可能になるのです。また、体の中にも秘密があるのです。トビウオの浮袋は、尾鰭の近くまで伸びています。その分トビウオの身は少なくなり、軽量化が図られることになります。トビウオは全身を使って飛べる体を維持しているのです。

ハマトビウオは「春トビ」と言われるように、旬は春ですが、漁としては初夏まで続きます。この他、トビウオの加工品として吸い物や煮物の出汁のアゴが有名です。

私がトビウオを好きな理由の一つ、入荷が減っても、値が上がらない魚だからです。

 

2007年から始まった「魚の話」も本稿で71回目を迎えておりますが、中々ご意見・ご感想が聞こえてこない!とのお嘆きも。是非ご感想をお聞かせください。お願い致します。

組合2階・総務部広報文化課

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