今日お話しする“尼鯛”は、昔からの古い教えにしたがって、関西、特に京都で料理され、食べられてきた魚です。

関東では流通量があまり多くなかったせいで、素材としても重要視されませんでした。高級料亭で利用される食材で、けっして日常的な素材ではない魚です。

アマダイは、タイと名が付いていますが、アマダイ科の魚で、築地にはアカアマダイ、シロアマダイ、キアマダイの3種類が入荷してきます。

アマダイは、おでこの張った大きな頭と横顔が、尼さんが頬かぶりしているようだからとか、身そのものが甘く感じるという説、また、「甘し」からついたという説が名前の由来として残っています。

前述のようにアマダイは関西から西にかけて、色々な呼び名があって、アマダイの別名として知られるグジはもともと京都で使われている呼称です。それというのも福井県小浜から京都へ運ばれてきた経緯から若狭湾で呼ばれていた名がそのまま使われたと思えます。日本海側に棲息しているのはアカアマダイで、本州中部以南、韓国、東シナ海にキアマ、シロアマが棲息しています。シロアマは「シラカワ」とも呼ばれ、アマダイの中では1番美味とされていますが、未だに食さずです。

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