鯒は夏の魚です。俳句歳時記でも夏の季語で、夏を代表する魚の一つです。鯒の仲間は日本周辺に20種程分布していて、「コチ」や「ほんごち」と呼ばれているのはマゴチです。魚の形が「笏」の形に似ているため「コチ」と呼ばれていた様です。「笏」とはシャクとも読み、神官が儀式のときに手に持つ細長い「板」のことです。

コチを表す国字にも、いくつかあって、その一つに「䱻」があり、字義は骨っぽいことです。コチの頭部は、幅が広くて大きく、骨ばかりであることからの作字で、この点からもコチの呼び名が出たのでしょう。

頭の大きさについて、こんな諺がありました。

「コチの頭は嫁に食わせよ」

鯒の頭は肉が少なく、骨ばかりで、「嫁いびり」の言葉です。

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