さて、三月の春漁の話の中でも触れましたが、春の大潮(旧暦三月三日頃)は年間で最も干満の差が大きく、桜のシ-ズンと時を同じくして、全国で潮干狩という日本固有の楽しい行事が行われます。

潮干狩の盛んだった江戸時代の対象は蛤でした。江戸湾はハマグリの一大産地だったのですが、千葉のハマグリ漁は、1968年の大量死を最後に、姿を消しました。しかし、近年、地元漁協の努力で回復に向かいつつあります。

ちょうど今、潮干狩りの季節になりました。現在の潮干狩りと言えば「アサリ」です。アサリは二枚貝の仲間ですが、ほかの貝と違い、貝殻の左右で、その模様や色が異なることもあります。何万個採れても、殻の柄が違うのです。

 アサリは、春になると夏の産卵に向けて、海水をポンプのように水管から体内に取り込み、水中の有機物を吸収して成長していきます。アサリは、すむ場所で味や形、大きさに差が出ます。有機物が豊富な水の流れる場所では、成長も早く、殻も身も大きく育ちます。環境の悪い場所で育つあさりはズングリしてしまいます。 

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