Tag: カツオ

初鰹 その弐

初鰹   その弐

毎度!宮内一郎です。

 

目には青葉    山ほととぎす    初鰹            素堂

 

江戸が人口百万という当時世界最大の都市になると、はなやかな元禄文化が開花します。初物に寄せる江戸市民の関心は絶大なものでした。鎌倉から運ばれる初鰹はその最たるもので、現在では考えられない高値が付きました。

文化9年(1812年)に日本橋魚河岸に入荷したカツオ17本のうち、6本が将軍家へ、3本が八百善へ、残り8本を魚屋が買いました。魚屋のが買った1本を中村歌右衛門が買った値段が3両という記録があります。

この日は、旧暦の325日、今年でいうと421日なので、この日にあわせてブログを書きたいと思います。

 

俎板に    小判一枚    初鰹            其角   

 

その後  女房を    質に入れても    初鰹)と川柳に詠まれる程の人気で、消費が美徳とされていました。

天明年間(1781~89)は特に白熱し、なんと一尾三両(現在の価格で約13万円)になったという記録もあります。

生けたごに    小判を入れる    珍しさ       

*たごとは鰹などを入れて運ぶ桶

 

盤台に    後光のような    初鰹

 

初鰹    嬶箪笥の    錠を開け

 

 値切ったら    ぶちのめしそう    初鰹

   

井戸端で    見せびらかして    刺身をし

 

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初鰹 その壱

初鰹 その壱

毎度!宮内一郎です。

カツオ漁は、ほぼ半年間という長丁場にわたるため、その旬を決めるのは難しいのです・・・・・。

太平洋を広く回遊しているカツオですが、最初に2月頃九州南部に現れるのは1.5~2㎏の子カツオで、尾部が太く徳利の形を思わせるところから 「とっくりかつお」と言われます。

その後3月中旬頃、和歌山県沖に現われるのも、まだ脂ののらないとっくりかつおです。

さらに鎌倉沖に現われる頃になるとカタクチイワシを食べて育った3 ~4㎏の大きさに成長します。徳川時代の江戸で初鰹として人気を集め、考えも及ばない高値を呼んだのがこの鰹です。

江戸では、鎌倉から伊豆にかけての海で獲れたカツオを、その日のうちに売りさばきました。サバと同様に、カツオもいたみの早い魚です。冷蔵技術もなく保冷方法も水を替えるくらいしか、知らない当時にあっては、ただ早く届けることが最善の方法だったのです。

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カツオ(2012年3月号)

カツオの巻

西国に鮭なく、東国に真名鰹なしという言葉があります。鮭は北国の魚で、真名鰹は東日本では獲れない、即ち本州中部から瀬戸内海、東シナ海に生息する魚です。

タイと名が付く魚にタイではないものが多いように、真名鰹もカツオとは縁遠いマナカツオ科の魚ですが、漁期や味の良いところがカツオに似ているので名付けたともいわれます。

今月はカツオの名の付いた魚を選んでみました。

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