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私と渡り蟹の出会いは千葉県銚子市の外川でした。

小学校3年の夏、夏休みが始まるとすぐ、父親に連れられて父の故郷・外川へ行きました。

家は外川港から犬若海水浴への道に面し、裏はすぐ太平洋の海原が広がっていて、祖母が一人で駄菓子屋を営んでいました。店の手伝いに私を選んで寄こしたのでしょう。

駄菓子屋と言っても、子供の買う菓子や飴玉の他、かき氷、茹でた玉蜀黍、蒸した薩摩芋、それに渡り蟹も茹でて売っていたのです。

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