メジ

 

「魚の話をしましょう」

を書き出してから、私が取り扱った魚以外の魚、即ち、専門外の魚が数多くあることに気が付き始めました。

しかし、その事に怯まず、私の頭を始め、目・耳・口等からの知識を駆使して、これに挑戦して行こうと思いますので、ご指摘等ありましたら、遠慮など、勿論しないでしょうが、お申出下されば幸いです。

今月は「鮢」です。

クロマグロの幼魚のことで、背側は青黒色で、腹側は灰銀色、腹側に十数条の横縞が出るところから、関西では「ヨコワ」と呼ばれています。ここでご注意。カツオの縞模様は「縦縞」ですよ。同じ祖先(魚)から進化した脊椎動物のしくみを考える時、アジやマグロ、ウシ、ヒト等、脊椎骨(背骨)があることがその証拠です。この脊椎骨に沿って走っている縞模様は縦縞です。ニューヨークヤンキースのユニフォームは縦縞です。石鯛の縞模様は横縞です。横縞が出る前の1~2kgの小型の魚をメジといって、あまり市場外に流通しない魚だったことを憶えています。横縞が出る頃、ほっぺたから胸ビレあたりに赤み(桃色)がさしてくると、うっすら脂ものって、薄桃色の刺身にも赤みが増して、今、死語になりつつある「玄人好み」の魚になります。

メジより大きい魚を「中坊」とか「小マグロ」又この先を「シビ」と呼び名を変えてきます。マグロの種類には、今までお話をしてきたクロマグロの他、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ、コシナガ等がいますが、メバチマグロとかキハダマグロなどの名が市中に横行しているのを見聞すると腹立たしさを覚えるのは年のせいかも。「お父さん、血圧が上がりますヨ」と嫁にいつもいわれています。まして、メジにマグロをつけて、メジマグロとか。メジはメジでいいのです。カジキはカジキでいいのです。カジキはマグロではありません。

何でも有りが幅を利かせていますが、社会の規則・常識を守って生活したいのもですね。その一つに「ら抜き言葉」があります。「食べられない―食べれない」「来られる―来れる」「考えられない―考えれない」、話し言葉か、書き言葉かによって違う面もありますが、私達には聞きずらい言葉です。テレビの画面にテロップで正しい?言葉で流されているのを見ても「ら抜き」は間違いと思います。地方によっては「ら抜き」を多く使う地域があるようですが……。

「半疑問」も聞きずらい言葉です。話し言葉の中で、言葉の端にイントネーションを上げて喋る、よく料理番組の先生が使っていたのを記憶しています。

 

【追伸】

刺身のつまに、そうめんの薬味に、茗荷が旨い季節です。独特の香味と辛味が身上です。茗荷を食べて健忘症となるなんて話はまっ赤なウソ。物忘れは年のせいです。