魚料理

 

今月は魚を主体にした食べ物を書いてみました。

紹介する料理は、私が日本橋で生まれて以来の家庭料理で、それぞれにレシピがあるわけではありません。それに味には好みがあります。人それぞれです。

好き嫌いなく食べているつもりですが、“旬”の食べもの三点にしぼりました。

始めは「しこの酢入り」です。「シコ」とはカタクチイワシ科カタクチイワシの別名で、市場ではほとんどの人がセグロとかシコと呼んでいる馴染みの魚で、カタクチイワシと呼び方を常用している地方を捜すのに骨を折る位です。全国第一位の漁獲量を誇る千葉県を隣に持つ東京都として、地産地消をもっと有効に利用したいものです。カタクチイワシは大部分が加工品で、煮干、メザシ、シラス干し等に利用されますが、今回、私の紹介する料理には、生の成魚で10~13cmの魚を三枚おろしにして生で「シコの刺身」で売っている魚屋さんが増えています。三枚おろしと言っても手や包丁を使わず、ピーピーバンドを15cm位に切り、折り曲げた先ですき取ると、きれいに三枚おろしが出来ます。昔、その化学繊維が無かった頃は、竹箒の柄の先(竹の皮)を切って丸めて、すき取ったものでした。

材料はシコ(一人前で五匹位)と千切り大根、塩少々、お猪口一杯(四人前)の酢とお醤油少々です。

三枚におろしたシコは濃い塩水で洗って水を切り、千切り大根を煮立たせて、塩を入れ、少量の醤油を加えた後、シコを入れ、お酢を加えます。シコが煮えすぎない位で火を止めます。栄養価の高い、廉価な食材を学校給食などに利用してはどうでしょうか。

次は「船場汁」です。

鯖は三枚におろし、身とアラに塩をして一時間程おきます。これを湯通しします。鯖のアラを入れ、沸騰したら弱火にして灰汁をとり、ペーパータオルでこします。お汁に短冊に切った大根を加え、鯖の切り身、アラを入れて、しばらく炊きます。塩加減に注意しながら、塩を加え、酒、薄口醤油で味を調えて、お椀に盛り、生姜のしぼり汁と白髪ねぎをのせて下さい。

最後は「かきのさっと煮」です。材料は牡蠣(食べられるだけ、私は普通の大きさのもので10粒位です)と塩ひとつまみと出汁昆布一枚と水だけです。

土鍋を火にかけ、昆布を一枚入れて、水を煮立たせます。沸騰したら塩を味見しながら、薄い塩水で洗った牡蠣を入れ、火が通り次第、煮すぎない内にいただきます。白濁したおつゆを御飯にかけて食べると、お茶碗二杯はいただけます。

 

私の食生活の中で、船場汁は、塩焼き、味噌煮、しめ鯖に次いで、四番目位ですが、牡蠣の「さっと煮」は断然トップで、フライ、酢牡蠣、牡蠣飯と続きます。健康っていいですね!