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メヒカリ(2016年7月号)

天ぷら

今日の魚の話は天ぷらです。

吃驚しないでください。(※① 読めますか?答えは最後に・・・)天ぷらの主役はメヒカリなんです。標準和名は青目狗母魚(あおめえそ)です。メヒカリの話だけでは、1頁埋まりませんので、てんぷらの話を一齣(※②)

エッヘン!

衣をつけて揚げる天ぷらが登場するのは江戸時代の中期で、魚にうどん粉をまぶして、牛蒡や蓮根に水で溶いたうどん粉を塗って揚げていました。屋台で天ぷらが売られだし、寿司とともに外食の盛んな江戸の食文化の花形へとなってゆくのです。

抑々(※③)、天ぷらとは!?

天ぷらの名の由来は、はっきりしたことは分からず、有力なのは外来語説です。室町時代末期、南蛮船の渡来で、外国文化の輸入から、ポルトガル語で調理の意の「テンペロ」とか、スペイン語で寺を表す「テンプロ」とも。当時上方では、天ぷらといえば魚の擂り身を揚げたもの、現在の薩摩揚げのことをいいました。

天ぷらが江戸で広まった理由の一つに、種にする新鮮で安価な魚介類に事欠かかなかったことが挙げられます。ここでやっと魚がでてきました。

マッテマシタ!

でも、当時の江戸前の水揚げされた魚介類にメヒカリの記録はありませんでした。

天ぷらが広まった理由の2つ目は、菜種油やゴマ油が増産されて安く手に入るようになったことです。

さて、安さと新鮮さが売りの「江戸前天ぷら」は、精進揚げと区別して、東京湾で獲れる魚介類の天ぷらのことを指しました。鯛や鱸などの海産物は上流階級の食卓に、屋台の天ぷら屋では、小柱・烏賊・芝海老・車海老・穴子・蛸・鱚・雌鯒・鯊・銀宝・・・たやすく入手できる魚ばかり。うどん粉を水で溶いただけの衣を付けてカリッと揚げる。食べやすいように串に刺して、値段は大体1串四文(約100円)。四文屋さんという名前のお店がいらっしゃいますが、安さを売りにした命名かもしれません。

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アオメエソ(2013年2月)

アオメエソ

 

魚屋さんで「アオメエソ下さい」と言っても、判らない人が多いと思う位知られていなかった?魚です。今から20年位前に世に出てきた魚で、私もそれまで見たことも、勿論、売ったこともなかった魚でした。「知る人ぞ知る」といった魚で、地元では昔から干物とか唐揚げなどに消費されていた、所謂、地産地消の「地の魚」でした。メディアの紹介とか物流の発達も重なって、各地から食材の発掘?がなされ、ブランド化にも繋がってきたものと思われます。前置きが長くなりましたが、アオメエソは東京でいう「メヒカリです。

築地で初めて見た時は、確か、小名浜から入荷した魚でした。風采の上がらない?色気のない魚と記憶しています。

メヒカリの所番地です。漢字名で青目狗母魚、英語名はgreeneyes(緑の眼)。学名でも葉緑素の目と言いますから、青緑色の大きな目が光ることが特徴です。地方名のメヒカリも、魚の特徴を捉えたいい名前です。中国でも「大眼青眼魚」の名が付けられています。

アオメエソには頭長と目窩径が違うマルアオメエソの近似種がありますが、マルアオメエソはアオメエソの北方型である可能性が強い、つまり、マルアオメエソは銚子以北の常磐物、我々が以前扱っていた福島県・原釜辺りの魚で、現在、築地に入荷している宮崎県・延岡等、相模湾以南の魚はアオメエソとなります。

いずれも水深200~600mに生息する深海魚です。7月と8月の禁漁期間を除いて底曳き網で漁獲されますが、生鮮での利用は少なく、干物や練製品の材料に使われます。市場でも小分けされて売られていますから、家のお惣菜に、鮮度の良い物は山葵醤油でお刺身に、天ぷらも唐揚げも、一夜干も旨いですよ。

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