ところで、アニサキス食中毒の発生を防止するには生食しないことですが、日本の食文化の伝統からは難しい話です。しめサバやマリネのような酢じめの調理や冷凍保存は、細菌の増殖を抑制する点では有効ですが、アニサキスに対しては効果はありません。そのため、生食には養殖魚か冷凍処理された魚が推奨されます。アニサキスは魚の死後に内臓から筋肉に移動するので、漁獲後はすみやかに内臓と内臓まわりの筋肉を除去することです。
ここでは、絵に描いて示すことができませんが、アニサキスのうちに、普通目にするのは魚類に寄生している3期幼生で、全長2~3㎝、細長く、魚の体内ではトグロを巻いていることが多いです。目視でアニサキスは確認できるので調理中よく確認することなどが提唱されています。
それではアニサキス食中毒の発生を防止するにはどうすればよいのでしょうか。次のような対処法が考えられます。
〇煮たり、焼いたり (中心までしっかりと)、冷凍(-20℃で24時間以上)すれば、アニサキスは死にます。
〇生食する場合には、以下の方法でアニサキス食中毒を防いだり、食中毒の危険性を低くすることができます。
☆冷凍処理(-20℃で24時間以上)してから調理する。
☆漁獲後なるべく早く内臓と内臓のまわりの筋肉を取り除く(死後、一部が内臓から筋肉中に移動するので)
☆寄生虫を意識して、魚をよく見ながら調理する。
☆アニサキスは傷をつけるとすぐ死ぬので、よく噛むことも予防につながります。
なお、しめサバやマリネなどの酢を使う調理や、冷蔵庫での保存は、アニサキス食中毒の予防には効果がありません
おさかな普及センター資料館にて
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