魚のオスとメス

暑い夏が終わって、涼しい秋がやってくると、秋の名のついた魚が市場に目立つようになります。“秋刀魚・秋鯖、それに秋味・秋さけと呼ばれる鮭も。今月は鮭の雄と雌の見分け方をはじめ、他の魚の雌雄の判別法、判別がつかない魚の話も含めて話をしましょう。

以前にも書きましたが、毎年秋になるとテレビで放映される鮭の産卵シーン。鮭の営みとはいえ、川を遡上する前から食を絶っての産卵行動には、いたたまれなくなるのは私だけでしょうか。鮭の雄・雌の見分け方で、雄の顔は険しい・荒々しいと表現しますが、産卵を助ける雄の顔には神々しささえ感じさせられます。

確かに見分けかたとしたら、雄は口先(吻)が伸びて「鼻曲がり」になって顔つきは険しくなります。対して雌のやさしい、丸みをある顔は、北洋を回遊中から変わりません。カラフトマスや紅鮭も河川を遡上する前から、体の婚姻色と、雄の厳つい顔は、白鮭と同じ様に見えます。東北や北海道の沿岸に春から夏にかけて回遊するトキシラズは―勿論、日本の河川には遡上しませんが―銀色で、トキシラズの婚姻色を見たことがないのです。もし読者の方でトキシラズの鼻曲がりをご存知の方がいらっしゃったらお知らせください。2007年10月号足掛け5年書き続けて、一度も苦情・注意など頂いたことがなかったので、この際、トキシラズの件でお計りします。

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