同じジンドウイカ科のケンサキイカだからです。ケンサキイカは分布範囲が広く、生育場所や季節によって体型にかなりの差があります。ケンサキイカは日本海では能登半島以南、太平洋側では三浦半島沖以西に分布していますが、最も顕著なのは若狭湾から九州西岸にかけての対馬暖流系のものです。

この地方での呼び名はシロイカともブドウイカとも呼ばれ、三浦半島・伊豆七島で揚がるアカイカに比べて腕が一段と太く、胴回りも大きく成熟しています。この山陰や北陸で獲れる胴がずんぐりとしたイカに比べて、九州五島列島辺りで多く獲れる五島イカと呼ばれるイカは、形が幾分細長いケンサキイカで、このイカで作るスルメ(干したイカ)を一番スルメといい(ケンサキスルメとも五島スルメともいう)、スルメイカで作るスルメを二番スルメと言います。

築地では、伊豆七島・式根島・伊豆半島辺りから来るイカを赤イカ、山陰から九州博多のイカを白イカと呼び分けていますが、双方とも、ヤリイカを仲間にしたジンドウイカ科の親戚ということです。

また、佐賀県唐津市呼子ではケンサキイカをヤリイカと呼ぶそうで、前述の見学者の見立てが偽りでないことの証でもあります。ケンサキイカのエンペラ(耳)の長いことも特徴で、胴長の70%位を占めます。話は逸れますが、耳の長いイカは他にもいます。ソデイカです。外套膜(胴長)が全身に広がって、全体の姿がひし形に見える大きな(80cm位)イカです。このイカは後日、ヤリイカ等とお話ししましょう。

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