Category: 冬の魚の話をしましょう (page 3 of 4)

サケとマス、赤身魚と白身魚(2011年12月号)

サケとマス、赤身魚と白身魚
サケとマスの違いについては、生物学的な意味は全くなく、サケ科の魚を○○サケや○○マスと呼んでいるといわれています。
古い書物を調べると昔から日本では鮭といえばサケ(標準和名)を、鱒といえばサクラマスを指していました。近代になって北洋のカラフトマスも利用されるようになり、サケ・マス類と呼ばれるようになったようです。
英語にもsalmon(サーモン)、trout(トラウト)があります。北アメリカに進出したヨーロッパ人が太平洋岸で様々なサケ科魚類に出会い、同じような考え方で命名したと思われます。

固定ページ: 1 2 3

タイ(2011年2月号)

魚の王様といえば、誰でもがタイの名をあげるでしょう。“花は桜木、人は武士、柱は桧、魚は鯛、小袖はもみじ、花はみよしの”

年の始めに、鯛を召し上がった方も多いと思います。

刺身、焼物、鍋、煮物、別に魚体の部分の旨さを順に言いあらわした言葉に「アタマ、スナズリ、カマ、背肉」があります。

スナズリとは、魚の腹の下の部分、砂に擦られるほどの所で、ハラスともいわれています。鮪の大トロがこの部分に当ります。

今回はカマの部分の話です。魚の胸ビレのつけ根の部分、草刈鎌に似ているのでカマ、特にタイ、ブリ、カンパチなどの魚が胸ビレを働かせて行動する、その筋肉が発達して旨いのは当然で、ブリのカマの塩焼きは、何物にも替えられない旨さです。

タイのカマを丁寧に食べてゆくと、中に“タイのタイ”という鯛の形に似た骨が出てきます。鯛の体の左右についていますから相似形の骨が二つ出てきます。このほかにも鼻の所に鯛石、大竜、頭の骨の付近には「三ツ道具」と呼ばれる、農耕具の鎌、鍬、鋤に似た骨が、尾のそばには鳴門骨、竹馬、鍬形などの名前がついた骨があり、昔から食べられていた鯛に、想い入れがうかがい知ることができます。今日お話しをする「鯛中鯛」は、正式には「鯛の鯛中鯛」「鯛のタイのタイ」と呼ぶべきで、イワシにはイワシの「鰯の鰯」、サバにはサバの「鯖の鯖」という骨があるわけです。前年9月号の金目鯛の写真の説明は「金目鯛と金目鯛」と訂正させていただきます。

江戸時代後期には、先程お話しをした「三ツ道具」を含めて、全体の骨格の他に「鯛の九ツ道具」と呼ばれる小骨があって、様々な“もの”に見立てて楽しんでいたようです。。

「タイのタイ」を持っているだけで幸せが来るというのに「鯛の九ツ道具」を持っていると「物には不自由しないし、持つと幸せなる」と昔からいわれているといっています。

タイのタイは、魚市場や料亭などでは昔からよく知られていましたが、一般にはあまり馴染みがありませんでした。最近ではマスコミなどに取り上げられることもあって話題にもなっています。見たり、聞いたりしただけでは幸せはやってきません。タイのタイを作ってみましょう。

先ず、鯛を食べることから始めて下さい。魚市場の中では鯵や鰯よりキロ単価が安い場合が往々にしてあります。養殖物でも良いでしょう。1kg前後の、あまり大きくないものを買い求めて、身は生でも、頭とカマの部分は煮るか焼くかで火を通して食卓へ。タイのタイはカマの所の胸ビレの下についている骨で、肩胛骨と烏口骨からできています。

肩胛骨が頭で、神経が通る穴が眼ということです。

財布に入れておくとお金が貯まるとも、着物が増えるというのでタンスにしまっておく人もいます。

店に置くと魚が溜まるからおすすめしません。

 

【参考資料】

おさかな普及資料館「おさかな情報No5」

※タイのタイの詳しい作り方は次号に掲載予定。

☆鯖と助子の話(月刊東卸2009年12月号)

鯖と助子の話

10月半ば、店から900gの八戸の鯖を一本買って帰りました。2枚におろして6つに切り、2切れを味噌煮に、2切れを塩焼きに、2切れで船場汁を作っていただきました。旬の秋鯖で何にしても旨い魚ですが、特に船場汁がことのほかで、鯖の味を堪能しました。2人きりの生活が長く続いて、食事もお米のご飯が毎晩一回で、朝はパン、昼は麺類と決められているので、魚を食べる回数はおのずと少なくなります。もう一度ありました。休日の朝はおかゆで干物を必ず食べます。

同じ日に偶然、三枝の養殖のサバ、刺身用に売っていたものを残ったので二本もらって帰りました。これは小さく1本は400グラムしかなかったのですが、脂がのっていてうまそうでした。1本は3枚におろしてしめ鯖に、1本 は二枚におろして干物に、両方共、冷凍にして後日いただきましたが、旨かったです。

鯖と前後して、綺麗な助子が店にあったので、500gのパック一つを買いました。

市場で助子と呼んでいますが、ご存知の通りスケトウだはの卵巣で、塩漬けにした「たらこ」や唐辛子等の調味液に漬け込んだ「辛子めんたいこ」は有名です。流通している「タラコ」の殆どがロシア・アメリカ・中国・韓国からの輸入品ですが、生の鱈子は国産です。

助宗鱈又は介党鱈と書かれたことから助宗の子?で助子と市場では呼ばれたのでしょう。私が買った助子は勿論「含め煮」にしていただきました。大部分冷凍にしておいたのですが、先日、娘が一家4人で来て全部なくなりました。孫は男の子ですが「旨い」といってくれました。

テレビの食べ物の番組で女性アナウンサーが「ウマイ」といったのが気になって、この稿を書き始めたのですがら女の子でしたら「おいしい」といってほしかったのは私だけでしょうか。「ヤバイ」とか「ヤベー」等、女の子が旨いに通じる言葉に変化しているのを、昔は、その道の人が使っていたのにと思うのは年寄りだけでしょうか。

日本語が乱れているのか変化しているのか、いずれにしても、聞きづらいし、聞いていて不快に思います。ついでに言わせてもらうと、「が行鼻濁音」、「半信半疑」、「ら抜き言葉」、私が教わった料理の先生は「この魚は生でタベレル」と。テレビの画面の下に「ら」を抜かないテロップが出る親切?等、テレビから入る知識が多いだけに不愉快な思いをしています。

私の考えが正しいとは言いませんが、日本語に「カタカナ」が増えているのも不快の原因の1つで、この嫌な流れに乗るしかないのかな。

「正しい日本語」とか「美しい日本語」が廃れそうな現在、「気持ち良い日本語」「心地よい日本語」の中で生活したいものですね。

フグ(2008年12月号)

フグ

河豚の巻

「河豚は食いたし命は惜しし」

河豚の話に大抵でてくる諺です。「命は惜しし」のフレーズが、余りにも強烈で、「未曾有をミゾユウ」と読む麻生さんでも、「命は惜しい」とはよまないでしょう。

世間では河豚に関して「美味しい」より「怖い」方が先で、川柳・俳句・諺等「怖い」が優先しています。前に述べた様に魚の川柳で多いのが初鰹の次で「旨い」を盛り込んだものが殆んどないものの特徴のようです。私ごとき生半可な知識を持ったものが河豚の怖さを書くのは痴がましいのですが、河豚の毒について書かせて頂きます。河豚の毒の正体は「テトロドトキシン」という物質で、その強さは青酸カリの500倍~1000倍、マフグ一尾の臓物で人間なら33人が死ぬといわれています。毒の強さは河豚の種類や組織、また季節や場所によって千差万別であることがわかっていますが、他の魚と違って河豚中毒が後を絶たない魚ですから、市場人として一層の気配が大切だと思います。

固定ページ: 1 2 3

初荷と節分(2008年2月号)

初荷と節分

今回は”初荷”と”節分”です。

今年のお正月は天候に恵まれ、穏やかな三ヶ日でしたが、4日の大発会で日経平均株価の大幅な下落と寒さが重なって行き先不安を思わせる年の幕開けとなりました。

築地市場での初荷は土曜日と言うことでお客さんの入りが懸念されたところですが、期待以上の入場者で、各所で魚市恒例の威勢の良い一本〆が聞かれ、”築地”の前途が明るく見えたすばらしい初荷でした。

固定ページ: 1 2 3 4

前の記事 次の記事