Category: 夏の魚の話をしましょう (page 3 of 6)

トビウオ(2014年6月号)

トビウオ

5月18日、朝6時15分からNHK総合でトビウオを放映していました。

見たことのない番組でしたが、終了までの30分間、見てしまいました。最近のテレビは専門分野まで深く入り込んで、親切に判り易く説明してくれるので、見る方にとっては大いに助かり、居ながらにして勉強にもなります。

私がこの手の番組を見ない理由は、出演している芸人の態度(いや総てかな)が嫌いなだけです。

テレビの話に戻ります。番組の終わりの方で、三根小学校の新入生が、トビウオのご馳走を食べている微笑ましいシーンには嬉しさが込み上げてきました。

そして、トビウオの料理の数々を紹介していました。しまずし、お刺身、フライ、ハンバーグなどです。「しまずし」はパソコンの検索によると、八丈島特性の寿司で、トビウオの“漬”の握りのようです。

ネタはトビウオの他、赤鯖、金目鯛、明日葉も見られました。

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フグ(2014年3月号)

河豚

4月19日、第59回ふぐ供養祭が築地市場内・特種物低温卸売場に於いて行われます。供養祭も来年は還暦を迎える由緒あるお祭で、毎年盛大に営まれる恒例の行事となっています。

河豚の旬が冬とされながら、桜の咲く4月にと思われますが、河豚供養は、河豚の食用時期が終る4月末頃、河豚の本場、下関市の南風泊市場で行われます。

築地市場でも、ふぐ組合の主催による追善供養が人間と同様の法要で営まれます。その後、墨田川への河豚の放流が行われ、供養のあと魚河岸俳句会の句会が恒例となっていました。

しかし、尾村馬人会長が亡くなって以来、供養後の句会の開催が困難となった今、供養の前後に句会を開き、河豚に感謝の気持ちをお供えしています。

今月の魚の話は、河豚供養祭を前に、河豚のほんの一面、俳句を供養のつもりで紹介させていただきます。

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泥鰌①(2013年9月)

泥鰌

 

東京では“踊り子”とも言われ、夏バテにはこれが一番と言われる泥鰌の話です。

この稿が出るのが9月末ですから、ちょいと時期が外れますが、今年は何年ぶりという暑さが続いていますので、夏が旬のどじょう料理をふぅふぅ言いながら食べましょう。

ささがしの牛蒡のそばで皆ごろし

ぶっそうな句ですが、ささがしとは「笹掻き」の江戸なまりで、皆ごろしになっているのがどじょうです。「まる」と呼ばれる尾頭付きの姿煮、「ぬき」と呼ぶ、頭と内臓を除き、裂いて開いたどじょうの身に割り下を合わせ、上にネギを山盛りにした鍋や、裂いて開いたのと笹掻き牛蒡を合わせて卵でとじる「柳川鍋」が主流です。川柳に詠まれる頃の江戸時代では、ネギは使わずに生きたまんまと「ささがし」を煮込んだ汁沢山が味噌と七味で食べられていたようです。それ以前の室町時代では、味噌汁でどじょうの美味しさを発見したようです。強壮や養生の薬とされ、気力を増し精力を強くするもので、

こがれ添う聟へ馳走の鰌汁

という川柳もあります。その他鍋に関しての川柳も二つご紹介します。

鍋蓋へ力を入れるどじゃう汁

念仏も四五へん入れるどじゃう汁

よく考えて、後で笑ってください。

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シロイカとアカイカ(2013年8月号)

白イカと赤イカ

店で白イカや赤イカを並べておくと、ヤリイカだと叫んで通る見学者が多く見られます。築地の異業種の方でもイカの種類の見分けが難しい方がいらっしゃるようなので、イカの種類からお話しましょう。

イカは世界の海におよそ450種位、日本近海にはそのうち140種位が確認されています。タコと同じ頭足類に属し、ツツイカ目、コウイカ目等4つの目に分けられます。

ツツイカ目のイカは胴の背中に骨と呼ばれる硬くて薄い透明な軟甲を持っています。この仲間には、アカイカ科(アカイカ・スルメイカ等)、ジンドウイカ科(ヤリイカ・ケンサキイカ等)、ホタルイカモドキ科(ホタルイカ等)があります。そして、コウイカ目のイカは、胴体の背中に、石灰質で出来た舟形の貝殻(甲のこと)を持っています。

今回の話題は白イカと赤イカですから、ジンドウイカ科のイカに限っての話です。気が付いていただけましたか?アカイカ科のアカイカは、今回の話の「蚊帳の外」。形はスルメイカによく似ていてムラサキイカとかバカイカの名で市場に入っていましたが、現在では見かけません。サキイカとか肉団子などの加工品としてお世話になっているイカです。

さて、白イカと赤イカの違いは?違わないのです。どう(胴)して?

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血合肉(2013年7月)

血合肉

今月は血合肉の話です。

血合肉は色が黒っぽいことや、臭いがあったり、鮮度落ちが早いことなどから嫌われ者です。例えば魚売り場でもカツオの刺身やブリの切り身を買うとき、血合肉のなるべく少ないもの、それも血の鮮やかなものを選びたくなります。

なぜ今頃、血合肉かというと、生のマグロが多い時期だし、カツオの漁も増えてくることで、鮮度の良い時にこそ、血合肉を食べてもらうチャンスと、この稿を書き出しました。本当は「もったいない」という気持ちからなのです。なぜなら、マグロの血合肉は殆ど捨てられている(利用されていない)ようだし、料理屋せんのカツオの刺身には血合肉は付いていません。

血合肉はカツオ・マグロなど運動性の大きい魚類の骨のまわりに発達する濃紅色の筋肉で肝臓のような動きをするとか運動をコントロールするとか言われていたこともありました。電気生理学の研究から、魚が急に餌の生き物を追いかけたり、敵が来てあわてて隠れたりするような急激な運動には、普通筋が使われ、平常泳いでいる時には血合肉が使われることがわかりました。海を大きく回遊しているマグロ・カツオは血合肉が多く、また海の底に静かにしていて、餌をとる時に瞬発力を出すヒラメなど、短距離走型の魚には血合肉は殆どありません。

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