Category: 月刊 東卸バックナンバー (page 4 of 19)

ポイ捨て(2015年9月号)

ポイ捨て

ポイ捨ては人の品性もすてている

鮮魚せり場近くのトイレに貼られている標語です。用を足しながら、ちらっと見ればその場限りですが、こうして字に書くと言葉の重さが伝わってきます。

今月はマナーについて書きます。

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シイラ(2015年8月)

鰆“鱪”鰍鮗

魚夏この字、何と読みますか?

漢和辞典には載っていません。無いのです。

魚偏に春は鰆―さわら、秋は鰍―どじょう・いなだ、冬は鮗―このしろ、四季があるのだら、魚偏に夏があって当たり前という考え方は素直過ぎますか?造り忘れたのかな。

考えれば考えるほどおかしいと思いませんか。寝られなくなっちゃった。その代わりと言ってはなんですが、暑い盛りに多く獲れるから“鱪”という字をシイラに当てた様です。

考え序に語源はといいますと、この魚の体皮が堅く、薄身で肉が少ないことから、米麦の結実しない籾のことを“粃”の意味であると受け取られているようです。

シイラは全世界の暖海のやや沖合の表層に生息しています。日本の沿岸では暖流の影響を受ける地域で夏から秋に普通に見られます。

まず魚体。成長すると1.8mにもなる大型魚で、細長い体の背縁と腹縁はほぼ直線状で、強く側扁(左右に押しつぶされたような形)します。額の輪郭は雌雄で大きく異なり、雄の成魚の額は極端なおでこで、成長と共に頭でっかちに変わるのが特徴です。雌はごく普通の丸みを帯びた顔立ち。

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メゴチ(2015年7月号)

雌鯒

7月は雌鯒の話です。

6月は鯒の話で、今月は雌鯒、コチとメゴチの関係は親子?親戚?

名前の形も似ていますが、分類学上は結構離れているのです。

鯒の時にも書きましたが、コチはコチ科、メゴチはネズッポ科の魚です。

ハゼやキス釣りの外道としてよく釣れ、親しまれているメゴチの名はネズッポ類の総称で、世界中の暖海に約18属130種が知られ、日本には35種が分布しています。

スズキ目ネズッポ科の仲間には、もっともふつうに見られる鼠鯒や滑鯒、鳶滑がいて、体形や体色がいずれもよく似ているため、種の識別は難しいが、鰭の模様や形に注意するとわかるものが多いです。

その殆どが日本海では新潟県、太平洋では仙台湾以南の沿岸域に分布しているので地方名も多く、面白い名だけでもウシロデ、ノドクサリ、ガッチョ、ヨダレゴチ等どんな名前を付けられようが、旨ければいいというのがこの魚の真骨頂で、天ぷらにすると美味なものが多く天下逸品といえます。

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コチ(2015年6月号)

今月の魚は鯒です。

魚河岸の人、100人に聞きました。

今、流行のクイズです。

Q.鯒の名前を知っている人(答えは私の独断の想像です)

A.100人中 95人

Q.鯒を見た事ある人

A.100人中 70人

Q.鯒を食べた事のある人

A.100人中 20人

名前は知っているけれど、食べた事はないという人が多いと私は予想しました。

今から10年ほど前までの築地市場は、或る程度業種別の商いがなされていたと思います。だんだん業種の垣根が外されて、お客さんの要望もあって、どこの店でも他業種の魚を扱うようになりました。私の店でも、その頃から活け物を扱って、活の鯒を商品として置くことになります。それまでの50年、鮮魚を扱っていて鯒を商いにした経験は年に10日とないと記憶しています。

前置きが長くなりましたが、特種の、活け物の領域から出ない魚だったのです。鯒は。

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ガザミ(2015年5月)

蝤蛑

私と渡り蟹の出会いは千葉県銚子市の外川でした。

小学校3年の夏、夏休みが始まるとすぐ、父親に連れられて父の故郷・外川へ行きました。

家は外川港から犬若海水浴への道に面し、裏はすぐ太平洋の海原が広がっていて、祖母が一人で駄菓子屋を営んでいました。店の手伝いに私を選んで寄こしたのでしょう。

駄菓子屋と言っても、子供の買う菓子や飴玉の他、かき氷、茹でた玉蜀黍、蒸した薩摩芋、それに渡り蟹も茹でて売っていたのです。

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